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浜松の実家の庭に一本の大きな「うばめがしの木」があります。うばめがしは、ブナ科の常緑樹で海岸に近い山地に自生する木です。この木を炭にすると一番硬くて上等な〈備長炭〉と呼ばれる炭が出来上がります。切り口を見ると宝石のように白く光っており、炭の芸術作品といっても誇張ではありません。
事務所の名前は、この木に因んで付けました。樫の木は建築の用材として使われることはあまりありません。しかし、その硬い木質から柱と土台を固めたりする「込み栓」という重要な部材には、この木が用いられます。山にあってドングリを実らせたり、家づくりの場では「込み栓」になったり、そしてまた良質な炭になったり…。
様々な場面で我々の生活を支え、豊かにしてくれる樫の木。こんな木に憧れ、少しでも近づけるよう願いながら、建築設計を進めています。
想い
うばめ樫の備長炭
大切なこと
設計のフィールドが、温暖な静岡であることもあり、外部空間と住まい手が対峙するのではなく、土庇や濡縁といった空間領域を介して、住まい手と外部空間が呼応できるよう、可能な限り努めています。
自然エネルギーの活用を単に設計者が唱えるのではなく、日々の生活の中で住まい手自身が置かれた環境を自ら体感し、創意工夫をして行くことが大切です。
自然を対象物として捉えるのではなく、自然の中に自分自身が置かれていることを感じること、また、そうした状況に置かれた時に受ける心地よさを設計の中で大切にしたいと思っています。
それから、日々の生活を重ねる住まいと云うのは、よそ行きの「着飾った服」ではなくて、毎日身に付ける「着心地の良い服」のようなもの。
そこに暮らす家族が、その人らしく立ち振る舞い、心地よく感じられる。そんな住まいを築いて行きたいと思っています。
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