![]() 建物南側外観(夜景)。 |
---|
![]() 1階居間。2階床組みをそのまま露出した力強い空間構成。建具を引き込むことによる外部との一体感を満喫する事もできます。 |
![]() エントランス。国産杉材、左官仕事によって構成された、凛とした雰囲気の玄関。和風と言う枠を越えたモダンな空気を意識しています。 |
![]() 2階アトリエ。 ワンルームのスペースを置家具等で間仕切る構成。住まい手の暮らしの変化と共に、住まいも成長して行きたい。 |
![]() 青いペンダントの照明器具の下には当初ダイニングテーブルが置かれていました。現在は家族共用のスペースとして利用されています。 |
![]() 台所。右手にはOMソーラーのハンドリングBOXとステンレスでラッキングされたダクトが見えます。 |
![]() 寝室として利用されている二階の和室。和室は多用途に使えて便利です。腰壁の高さを抑え、重心を下げています。 |
![]() 凛とした表情の1階居間。中央に配された5寸角の柱が、空間を引き締めています。 |
![]() 外壁は基本的に漆喰塗。玄関の木製ドアには米ヒバを使用。柿渋を塗って仕上げました。 |
![]() |


東若林の家
所在地
浜松市
竣工
1997年4月
延床面積
123.00㎡
施工:マルモ中村住宅
自邸です。増沢事務所から独立して初めての仕事です。今思い起こすと全く無謀。よくもまあ、30過ぎそこそこの若造が銀行から借り入れをして造ったものだと思います。
これまで暮らしてきた東京から生まれ育った浜松の地に帰り、自分自身をそしてこれまでの様々な思いや家族の暮らしを見つめ直す新たなスタートの場として、この住まいは生まれました。
砂浜の延々と続く遠州灘に歩いても行ける所に敷地はあり、温暖な気候に恵まれています。しかし東海道筋として早くから開けているため、野放図に市街化が進んでしまった感があり、住まいをこうした周辺環境の中に如何に置くのかといった判断を下すのが難しい場所でもありました。
風通しよく大きな開口部を設け、外に対して開くのと同時に、建物に囲まれた落着きのある生活の場をつくり出したい。こんな思いから住まいの間取りは固まっていきました。
温暖なこの地にあっては、高気密、高断熱というより、特に湿度環境を自然にコントロールできる清々しい空間を生み出すことに努め、土壁や木材といった素材で住まいを構成しています。
家族3人の生活が始まって約5年、明確な暮らしに対するイメージを住まいに具現化するというよりも、これから多様に変化し続けるであろう我々の暮らしを如何に柔軟に受け止められるか。我々が住まいを考える上で、最も留意したのはこの点です。かといって、融通無碍な空間を単に用意するというのではなく、生活の展開が触発されるような魅力を見い出すことも同時に大切なことでした。
新しい住まいに移って約三ヶ月、本当にこうした思いが果たし得たかどうかを判断することはできません。これから10年、20年と暮らしを重ねていく中で、生まれてくる家族の姿が、どんなものになるのか、きっとその姿に答えを見い出すことができると確信しています。(1998年夏)
設計のポイント
1.階段を中心に据え、プランに回遊性を持たせる。
2.増改築の頻度の高い水まわり部分を、下屋として本体から切り離す。
3.自然素材、特に調湿効果の高い土壁を取入れる。
4.伝統構法に裏付けられたモダンな空間の創造。
山:
材木は愛媛県の小田町より入荷。
墨付け、刻み:
大工の佐藤さん、杉本さんにはお世話になりました。
小舞壁:
左官の水野さんが手を真っ赤にしながら編み上げました。
土壁:
昭和30年代ぐらいまでは、遠州地方の多くの住宅の壁は土壁でした。調湿の効果を期待しています。
上棟:
梁の天瑞が異なり、通し貫で固める多少複雑な架構。しかしプランが単純で、通し貫で固めることにより、まとまって地組ができた為、上棟は1日で終了。
[主な内部仕上げ]
天井 :
居間、食堂 / 杉板厚30ミリ化粧現し
玄関、便所、広間、寝室 / 杉板厚12ミリ本実張り
洗濯、脱衣、浴室 / 桧板厚12ミリ本実張りオスモカラー塗り
壁 :
外周部 / 土壁の上に漆喰塗り
間仕切り壁 / プラスターボードの上に漆喰塗り、
杉板厚15ミリ本実張り
水まわり / 桧板厚15ミリ本実張り
床 :
1階 / 杉板厚30ミリ本実オスモカラー塗り
水まわり/桧板15ミリ本実張りオスモカラー塗り
2楷 / 杉板15ミリ本実張りオスモカラー塗り
玄関/三和土仕上げ